イボを治すつり鐘

坂本の松尾というところに、こんもりと茂った森に囲まれて、小さなお堂がありま す。そのお堂の中に、立派な阿弥陀如来の仏像がまつられています。

昔、この仏像をぬすんだ悪者が、背中に仏像を背おって佐那河内方面へ行く途中、 杖立峠あたりまで来ると、背中の仏像がだんだんと重くなって暴れ出し、どうしても 前に進むことができず、悪者は仕方なく引き返して、仏像をもとのお堂に納めたとい う言い伝えがあります。

また、このお堂のつり鐘は、イボを治してくれるという言い伝えがあります。イボ を治すには、このつり鐘のイボをひもでくくっておくと、いつの間にかイボがころり と落ちているそうです。

『勝浦の民話と伝説』より

※ お堂は、坂本字宮平にあり、「阿弥陀如来堂」と呼ばれています。軒下につられて いる小さなつり鐘のイボには、多くのひもやわらが結ばれています。